« コンタクト | トップページ | 写楽 »

メメント

――リセットしたい人生もある、リセットされてしまう人生もある。

題名は、記念品とか、かたみとかいう意味。
妻を殺され、自分も記憶障害にかかったレナードは、その障害と戦いながらも犯人を追跡するサスペンス物。

彼の記憶の断片をそのまま再現したように、時間軸を全く無視してブツ切れのエピソードが前に行ったり後ろに戻ったりして何回も出てくる。せっかく思い出しても、翌朝起きるとまた最初から記憶をたどるシーンから繰り返される。見る方はトランプの神経衰弱をやらされているように、自分でストーリーをつなげて行かなければならない。

その記憶障害は、発病以後の記憶は10分くらいしか持てず、今話をしている人さえもすぐ忘れてしまうという重度の症状。とにかく覚えておきたいことは必死になってポラロイド写真を撮るか、メモを取るかしないと全てを忘れてしまう。
こういう障害があることは科学番組で知っていたが、こんなにも辛いこととは思わなかった。毎日が不満だらけでも、明日に希望を持つことで人間は生きていける。朝起きてまた昨日の続きかぁと思ったとしても、それはどんなにすばらしいことか!朝起きても、昨日が何も思い出せない、メモや写真を見てそうだったのかと信じるしかない人生なんて・・

レナードに残された希望とは、ただ一つ、犯人に復讐することだけだった。「復讐してもどうせ忘れてしまう。何の意味がある?」と聞かれてレナードは、「俺が忘れたって正義が無くなるわけではない。」と言い切る。犯人についての手がかりを「記憶を無くさないよう」に自分の身体にタトゥを刻み込んでいく姿は正に鬼気迫るものがある。サスペンスは当然ながら犯人探しが重要だ。でもこの物語は犯人がわかっても空しい、何の解決にもならない。

記憶がいかに大切か、その記憶がいかにうそをつくかを思い知らされる。人間は都合の悪いことは覚えていないものだとも言っていた。話の展開の意外性ばかりに目がいくが、時々垣間見る人間のずるさ、せこさなども見ていくと、作品のもっと違う面が見えてくるかも。

最近、電影道士も記憶が飛ぶようで、先週見たビデオのラストシーンが思い出せなかったりするので、本当はもっといろいろ忘れているのかもしれない。このブログも言うなれば自分が何を見て、何を伝えたいかを胸のタトゥに刻みつけているようなもの。
(あなたのハートには、何を刻みましたか? 木村奈○子)

[蛇足]
お酒の量が過ぎて、2次会のカラオケの記憶がすっかり飛んでしまったことがある。1曲も歌えなかったと残念がっていると、一人でマイク離さなかったぞって、言われてしまった。
失われた記憶って本当に怖い・・・

主人公の名前が、レナードだって? あの「レナードの朝」と関係あるのかな?

監督:クリストファー・ノーラン 「インソムニア」
出演:ガイ・ピアース      「L.A.コンフィデンシャル」 「タイムマシン」
キャリー=アン・モス
ジョー・パントリアーノ
(2000・アメリカ)

|

« コンタクト | トップページ | 写楽 »

2)洋画」カテゴリの記事

d)推理・サスペンス」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70868/2357796

この記事へのトラックバック一覧です: メメント:

« コンタクト | トップページ | 写楽 »