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コンタクト

――天文学者は、最後に何を語りたかったか?

もしも地球外生物からメッセージが届いたらどうなるかを、より科学的にシミュレーションを試みた作品。壮大なテーマなのに、すっきりあっさりした仕上がりなのは、原作者カール・セーガンが天文学者だからか。科学者としての夢、ロマン、謎解きのスリリング、科学と宗教の兼ね合いなどを、科学者でない我々にもわかりやすく描いている。だいぶ以前にNHK特集「コスモス」の監修・進行をやり、宇宙のすばらしさを教えてくれたのを思い出す。映画完成の直前に亡くなられたのは本当に残念だったと思う。

幼い頃からの夢で天文学者になったエリー(J.フォスター)は、ある日宇宙の彼方ベガ星からの怪電波をキャッチした。物語の前半の謎解きは、地味だけれどドキドキする。怪電波の信号を拡大した時の音声が工事現場で聞く杭打ち機に似て、その力強い響きに意味も無く感動。(心臓の鼓動と波長があっている)

怪電波には地球の映像、それもヒトラーのオリンピックでのスピーチの映像が含まれていた。なぜか? 
あの時はピンと来なかったが、今はよくわかる。地球からのテレビ中継をキャッチし、そのまま添付した返信メールだね。今地球はものすごいボリュームの電波を宇宙に向けて発信しているはずだから、きっと宇宙から狙われるぞ!間違いない!(ガメラ2レギオン襲来)

エリーが研究のために資金繰りに駆け回るが、ある財団のボスが食指を動かす。このボスがなかなかの食わせ物で、ジェット機を乗り回し、宇宙遊泳したり、なかなかいい味出している。他が真面目なキャラだけに、このボスは美味しいところを独り占めだね。地道な解読作業が行き詰まった時にこのボスが見事に謎を解くあたり、おおぉ~!と歓声。「謎が解けた!」とは、まさにこういう瞬間を言うのだろう。

メッセージは、どうやら未知のエンジンを積んだ機械、おそらくは送り主のいるベガ星への移動装置の設計図であると判明。合衆国は諮問委員会を作り、機械の製造と乗務員の選定が行われた。
遊園地で見かけるような移動装置だけど、それはそれで納得、乗ってみたくなる。
エリーは乗務員候補の筆頭だったが、選考委員からは信仰心が薄いという理由で落とされ、エリーの上司が選定された。しかし出発の日、反対派のテロリストによって装置は破壊されてしまう・・・

科学と宗教。信仰のことでエリーが選考から落とされたり、宇宙基地の周辺で宗教各派が抗議集会を開いたり、科学と宗教が真っ向から対立する。SF映画で宗教を取り上げているのは珍しいと思った。しかし科学というものが、そもそも「神の摂理」を知る営みであったことを思い起こせば不思議ではないのだろう。本来ならば二つは対立するものではなく、両立するものだと。

再び財団のボスが出てきて、大どんでん返し。またまたおいしいねぇ。
エリーはついに宇宙空間に飛び立つ。でも宇宙の神秘はうまく映像化できていないなぁ。
あの「2001年宇宙の旅」のように、何だかよくわからなくても、見る方で納得すればそれでいいのでは?
結局彼女の神秘的な宇宙体験も科学的な説明がつかず、いかさま師のレッテルを貼られてほされてしまう。

一番非宗教的な立場にいた彼女が、ラストで子供たちに宇宙の神秘を語り、一人静かに空を見上げる表情に「神の摂理」に触れた科学者の喜びのようなものを感じることが出来た。
関口さんの「知ってるつもり」風にこのラストシーンに字幕をいれるとしたらこうなる。
「私は真理の大海原を前にして、きれいな貝殻を拾って喜ぶ少年にすぎない(アイザック・ニュートン)」
天文学者(カール・セーガンも、エリーも)は、最後にこれを語りたかったのだ。

監督:ロバート・ゼメキス
原作:カール・セーガン
出演:ジョディ・フォスター、マシュー・マコノヒー、ジョン・ハート
(1997・アメリカ)

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コメント

こんにちは、以前「女王の教室」のコメントににおじゃました者です。「スペシャル」でこちらにまた来たんですが、別のも読んでいるうちに、「コンタクト」に来ちゃいました。
私この原作が好きで、でワクワクして映画館に見に行ったんですよ。
J・フォスターはすばらしかったんですけど、随分と内容が違ってちょっとがっかりでした。違ったのは宗教論争部分が多かった所です。私は日本人なんで、宗教部分はうっとおしいかぎりで、この部分はゼメキス監督の判断かなーっと勝手に思ったりもしました。
宗教テロリストが出てくるんで、映画化する際、バランスが必要なのかなと思ってみたり。
セーガン博士の科学の世界とは随分雰囲気が違って、セーガンファンとしてはちょっと複雑でした。

投稿: bamo | 2006.04.07 02:31

bamoさん、お久しぶりです。
「女王の教室」でも貴重なご意見、ありがとうございました。

宗教部分はあまり違和感なく勝手に納得してしまったために、ずっと今まで原作もそうなのかと思い込んでいました。「戦国自衛隊」では原作と映画は別だと言っておきながら、お恥ずかしい次第です。

今度原作をじっくり読んでみようと思いました。
また遊びにいらして下さい!

投稿: 電影道士 | 2006.04.08 00:36

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