« PLANET OF THE APES 猿の惑星 | トップページ | タイタニック »

戦国自衛隊

――自衛隊の戦国時代への派遣は、歴史を変えるべからずという「時間航法憲章」に違反か否か?

史上最強の武田騎馬軍団と20世紀最新鋭の戦車、火縄銃と機関銃、手裏剣とピストル。そしてヘリコプターが騎馬軍団の上を我が物顔に舞う。(もしかしたら合戦シーンの撮影現場では、空撮のためのヘリは本来見慣れた風景かも)
槍も刀も戦国武将顔負けの伊庭三尉(千葉真一) のアクションがギラギラ光っている。

ネタばれです---

まあ、彼らは決して誰かに戦国時代へ派遣された訳ではない。強いて言えば、「歴史」が彼らを派遣したのだろう。
伊庭三尉たちも一体なんで我々が・・・と絶えず疑問を投げかけている。
歴史を変えてはいけない。彼らも最初はそう考えた。歴史に介入せずに、早く昭和の時代に戻りたいと。

しかし時は戦国、嵐の時代。中立を保とうとしても、戦闘に巻き込まれて隊員を失ったり、内部分裂をして殺し合いをしたりして、ついに彼らは「野心」にめざめてしまう。
「歴史は俺たちに何をさせようとしているのか?」(公開当時のキャッチコピー)ここで天下を取れ、というのか? そのためにここに送り込んだのか? 天下を取れば歴史は狂い始めて(再び揺り返しが起きて)我々を昭和に送り返すかもしれない。

こうして伊庭三尉らは、厚い友情で結ばれた長尾景虎(上杉謙信)と共に天下を目指す。
まずは景虎の主君、小泉越後守(!!)をクーデターで倒し、宿敵武田信玄との川中島での戦いへと向かう。
武器の上では圧倒的に優位だったが、人数的にも戦術的にも苦戦を強いられ、犠牲者が次々と出る。
ようやく信玄の首を討ち取り、京に向かう彼らを待ち受けていたのは、なんと景虎の軍勢だった・・・

結局歴史は彼らを戦国時代に派遣しておきながら、もてあそび、最終的には邪魔者扱いにし、滅ぼしたということになる。歴史に何の変更も傷口も無く、彼らを飲み込んでしまった。「歴史は俺たちに何をさせようとしているのか?」の答えが無いまま、彼らは歴史の中に埋もれていった。何かすっきりしないけれど、歴史のいたずら、人生の無常を感じ取れということなのだろうか?

ラストは景虎の裏切りか、と最初は思って憤慨したがよくよく考えると、彼が殺らなければ必ず他の軍勢が殺るだろう。あの娘が自分の愛する隊員を銃で撃ったのと同じ心境。せめても友情の証(あかし)にわが手で撃つ、という景虎の苦渋の末の決断だったのだ。でもそんな気持ちを伊庭三尉たちはわからないまま死んでいった。一体なんで我々が・・・

そもそも人間とは、自分の意思と関係なく、生まれた瞬間にこの時代に投げ込まれた存在である。自分は何のために生きているのか? まさに「歴史は俺たちに何をさせようとしているのか?」は、青春ドラマの永遠のテーマである。

ところで皆さんは、半村良の原作を読まれたことがあるだろうか?
設定はだいたい同じだけれど、歴史の解釈が全く違っているし、あっと驚く結末がある。
しかしこの映画は、半村良原作の一番肝心のところが全く抜けている。すごい駄作だと思った。今も少し思う。
原作の一部をそのままに残しておきながら後で伏線として使わなかったり、細かいところの辻褄が合わないまま、何が言いたいのかもわからないまま、もやもやだけが残った。

タイムスリップには、パラレルワールドという考えがある。世界は一つではなく、複数存在しているという。であれば、「半村版」とは別に「角川映画版」が存在していてもいいし、全く逆の結論でもいいことになる。

――自衛隊の戦国時代への派遣は、歴史を変えるべからずという「時間航法憲章」に違反か否か?
最初の問題に戻ると、「角川映画版」は歴史を変えるまでには及ばなかった、となる。
「半村版」では、「時間航法憲章」そのものが成立しない、となる。
詳しく知りたい方は、ぜひ半村良の原作を読んで下さい。面白いです!!

[蛇足]
「角川映画版」は、半村良「原作」ではなく、半村良「原案」とすべきだったのだ。
今年公開の『戦国自衛隊1549』は、「原案」としている。今度は平成自衛隊はどう戦うのか、歴史は彼らに何をさせるのか? 少し楽しみ。
       (公式サイト)
『ローレライ』『亡国のイージス』と福井晴敏の原作が続き、今年の映画界、自衛隊が熱い。

監督: 斉藤光正
原案!: 半村良
出演: 千葉真一、夏木勲、渡瀬恒彦、竜雷太 
(1979、日本)

|

« PLANET OF THE APES 猿の惑星 | トップページ | タイタニック »

1)邦画」カテゴリの記事

b)SF・怪獣」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

こんにちは!
「戦国自衛隊」面白かったですよね。
ファンの方が多いのには驚きました。
原作の発想もすごい。

リメイクの方も楽しみですね。

TBさせていただきました。またよろしく!

投稿: 邦画ブラボー | 2005.02.07 19:16

確かに駄作でした!
この作品にこれだけのお金をかける必要があったのかっとおもいますけど・・・

TBしときます

投稿: 映画の花道 | 2005.06.10 13:24

追加

私は両方とも好きじゃないです

お金をかけたというのはリメイク版のほうです。
また、鑑賞後でも読んでください

投稿: 映画の花道 | 2005.06.10 13:44

映画の花道様、コメントありがとうございます。
「戦国自衛隊1549」いよいよ公開ですが、
駄作でしたかぁ、残念!

鑑賞後、ゆっくり読ませていただきます。

投稿: 電影道士 | 2005.06.10 23:38

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70868/2829194

この記事へのトラックバック一覧です: 戦国自衛隊:

» 「戦国自衛隊」リメイク! [邦画ブラボー]
江口洋介、鹿賀丈史、鈴木京香などの出演で 1979年に製作された 戦国自衛隊がリメイクされるそうです。 前作はとにかく千葉真一がカッコよかったことを覚えている。... [続きを読む]

受信: 2005.02.07 08:39

» 戦国自衛隊 [映画は世につれ、書は人につれ]
戦国自衛隊半村 良角川書店 2005-01売り上げランキング : 2,554Am [続きを読む]

受信: 2005.03.05 12:25

» 戦国自衛隊1549 [ヲイラのだいあり?]
■ 戦国自衛隊1549 ( 2005 )  消滅するのは…        歴史か、俺たちか? 戦国時代へタイムスリップした陸上自衛隊と、大軍勢の戦国武将たちとが死闘を繰り広げるスペクタクル・アクション映画。シナリオは、1979年に大ヒットした千葉真一主演「戦国自衛隊」を基に、人気作家「福井晴敏」が新たに書き下ろした。陸上自... [続きを読む]

受信: 2005.05.08 14:45

« PLANET OF THE APES 猿の惑星 | トップページ | タイタニック »