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キル・ビル Vol.1・2

――やっちまえな!やられたら、やり返す、殺し屋の仁義ある戦い。

ユマ・サーマン演じるブライドがかっこよくてハチャメチャ強い。
対する敵役のビル、部下のエル・ドライバーやオーレン・イシイもそれぞれ強くて渋い。これだけ役者揃えたんだから、どうぞ好きなだけ派手にやってください、って感じ。

「キル・ビル」は語呂がいい。キル・ボブとか、キル・ディックとか、キル・ジェームズとかじゃあ、語呂が悪いし、ポスターの英語タイトルの収まりが悪い。ビルに感謝!

Vol.1では、なぜブライドがあんなに強いのか、そもそもどうしてビルの子供がお腹にいるのに、他の男と結婚しようとしたのか、謎を残したまま、復讐に突っ走ってしまう。ブライドの過去とか生い立ちとか全然わからずに、オーレン・イシイの生い立ちがご丁寧にアニメ化されていた。変なの~

Vol.2は、解答編。でも解答変~、あるいは解答出~へんという感じ。 
Vol.1が単純明快な「動」なのに、Vol.2が義理人情の葛藤を描く「静」で、すっきりしない終わり方。

ブライドが強いのは、ビルのお師匠さんであるパイ・メイに弟子入りしたから。納得。
映画では無かったDVDのお宝映像では、ビルが中国人数人をいとも簡単にやっつけるシーンがあった。その後ろでブライドが、驚きの目でビルを見ていた。きっとその強さにブライドが憧れて、厳しい修行を始めたんだろうなと察しがつく。

ビルの子供ができたのに、殺し屋を父に持っては子供がかわいそうだとブライドが言っていた。
何か変な理由だ。でもよくよく両方の言い分を聞いてみると、ブライドが黙って出て行き、見知らぬ男と結婚式を挙げると知ったら、ビルだって黙って「はい、そうですか」とは行かないだろう。「落とし前をつけろ!」 となるのは、彼らの仁義だと思う。

ブライドからすれば、大事な子供や夫や友人を失ったのだから、復讐も当然なんだろうが、だったらビルだけ殺せば済むような気もする。なんで元同僚まで殺すの?
(もちろん理由があれば殺していいという訳ではない!) 
憎いから? 仮に憎しみが残っていたとしても、子供の顔を見た瞬間消えてしまったはず。
恨みとか憎しみよりは、むしろ殺しのプロとしての体面、落とし前をつけるために愛した人を殺るんだと思う。 

ビルも同じ考えだろう。だからこそビルも平然としていて、殺されるのも殺すのも意に介さない様子だったに違いない。あの『燃えよカンフー』の修行僧の成れの果て? といった悟りの境地なのだろうか。
ボスの貫禄。善悪を超えて、ビルは偉大な存在だった。
復讐が終わって、ブライドは満足だったのだろうか。
本当はビルを殺る瞬間だって彼を愛していたに違いないのに・・・

[蛇足]
この映画はいろんな映画のオマージュで満ち溢れている。(『少林サッカー』もそう言えばそうだと言えるけれど)
梶芽衣子主演『修羅雪姫』をはじめ、日本映画からの引用については、最新刊の祥伝社文庫「模倣される日本」(浜野保樹著)が詳しい。私も知らなかった引用や命名の指摘がある。
それ以外にこんなの知っている? と、どうしても言いたいのを挙げると、
 
ブルース・リー主演『死亡遊戯』
 ご存知、黄色の地に黒いラインのコスチューム。
 バイクのヘルメット姿も同様。
 元々は人質の妻子を助けに行くという設定だったらしい。
 ビル以下ターゲットが5人というのも、五重塔を意識しているはず。
 最初は『死亡遊戯』は未完の映画で、写真しかなかった。
 あのコスチュームを着て動くリーの英姿を待ち望んだものだった。

スティーブン・セガール主演『ハード・トゥ・キル』 
 7年間昏睡の後、病院を抜け出して射殺された妻子の復讐をする。
 まんま。7年が少し短くなっただけ。

エドワード・フォックス主演『ジャッカルの日』
 復讐する奴らのチェックリスト。スナイパーのジャッカルも、暗殺方法を
 考える時、 WHEN・WHERE・HOWと紙に書いて、考えがまとまると
 一つずつ消していった。ゴルゴ13は何も書かないけど。

ブルース・リー共演『グリーン・ホーネット』
 リーは、正義の使者ホーネットの運転手兼パートナー加藤の役。
 二人がしていたマスク。 映画では、「カトー・マスク」と呼んでいた。
 ホーネットだって同じマスクなのに。

ブルース・リー主演『ドラゴン怒りの鉄拳』
 カトー・マスクの男たちに円陣で囲まれ、足首を切りまくるシーン。 
 リーが道場の男たちの足をヌンチャクで狙うシーンと重なる。
 その後、リーがヌンチャクをパッと脇に挟んでカッコよく見得を切るが、
 後からよく考えると相手は素手なのに、ちょっと卑怯だと思った。
 「模倣される日本」では、このシーンは別の映画を挙げていた。
 まあどちらでもいいと思う。
 オーレン・イシイとの日本庭園での戦いは、ロシア格闘家との戦い。

アンソニー・ホプキンス主演『ハンニバル』
 ラストで出てくる、頭蓋骨を切られた男。あの映画の蛇足。

デビット・キャラダイン主演『サイレントフルート』 ブルース・リー原案
 キャラダインがフルートを携え、武術の秘伝書を求めて修行の旅へ。
 Vol2の最初にビルが吹いていた長いフルート。
 私の記憶が正しければ、キャラダイン自身が同じように焚き火の前で、
 あのポーズで吹いていたと思う。

監督: クエンティン・タランティーノ
出演: ユマ・サーマン 『パルプ・フィクション』
    デヴィッド・キャラダイン 『燃えよカンフー』
    ダリル・ハンナ      『ブレードランナー』
    ルーシー・リュー    『チャーリーズ・エンジェル』
    千葉真一

(2003年・アメリカ )

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