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シザーハンズ

――悲しみはやがて風化し、メルヘンになるのだが・・・

両手はハサミ、ぼさぼさの毛、白い顔、オドオドした目、よたよた歩く姿・・・
一度見たら忘れられないその姿、そしてメルヘンチックな音楽。
サーカスのピエロを連想するが、彼はれっきとしたアンドロイド。エドワードという名前もある。「悲しいピエロ」という言葉もあるが、エドワードも「悲しきアンドロイド」。

手の部分が未完成のまま彼は生まれた。(人間も未完成のまま生まれてくるんだが)
父なる発明家を失くし、古城で一人、孤独な生活。
化粧品のセールスをしているペグが同情して家に連れて帰るが、慣れない町の生活に失敗ばかり。その不器用さはコントとして見れば可笑しいはずなのに、なんだか悲しく見えてくる。

しかしペグの家族は皆エドワードに理解を示し、彼も家族のありがたさを身にしみて感じた。
やがて両手のハサミは不器用に見えるが、実は器用に使えることがわかり、植木職人から、犬の美容師、そしてカリスマ美容師へと変貌していく。

キムにはボーイフレンドがいたが、エドワードを蔑視し、悪事に加担させたりする。エドワードは悪いと知りつつも、キムのためだと思って手伝ってしまう。そしてやがて怒りとなり爆発する。彼が見せた初めての激しい感情表現。その裏側に、キムへの淡い思いの丈がちらりと見えた。

美しいクリスマス・イヴの夜の描写。
エドワードは幸せのはずだったのに、愛する人を間違って傷つけてしまう。
結局ペグたち家族以外からは理解されず、誤解が誤解を呼んで、彼は町を出て行く・・・

『野生のエルザ』という映画を思い出した。
動物保護官の夫婦はライオンの子供を育てるが、やがて野性に戻すことに・・・
でもエドワードには人間の感情を持ち合わせるだけに、もっと深い悲しみがある。エドワードのキムへの淡い思いって何だろう。キムが気づいた彼への思いって何だろう。失った時に感じる絶望感。エドワードが父を亡くした時にも、その悲しみが表情ににじみ出ていた。

時は過ぎ、キムは年を重ね、普通の結婚をし、普通の生活を送っていた。
どんなに悲しいことも、やがては風化し、美しい思い出、メルヘンとなっていくものだ。
なのにエドワードは年をとらない。もしかしたら死なないかもしれない。
もっと悲しいことにアンドロイドやロボットの思い出は、風化しないのだ。
そんなことを最近話題の浦沢直樹の漫画『プルートウ』から学んだ。
彼は、悲しみをそっくりそのまま、ずっと背負ったままで、一人で生きていくのか?
アンドロイドは初恋の夢を見るのだろうか?

監督: ティム・バートン  
    『バットマン』 『PLANET OF THE APES 猿の惑星』
出演: ジョニー・デップ、 ウィノナ・ライダー
音楽: ダニー・エルフマン
     『バットマン』 『スパイダーマン』 『メン・イン・ブラック』
(1990、アメリカ)

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コメント

AML Amazon Linkさん、TBありがとうございました。
たいへん光栄です。でもうちのブログは、ネタばればれの、読後感想ブログなので、TBは差し控えさせていただきます。DVDを買う前のワクワク感がなくなってしまうといけませんから。

投稿: 電影道士 | 2005.07.31 21:59

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