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女王の教室スペシャル

――説得力のある構成。教育の現実と向き合ったグレー真矢の熱血さがすばらしい。でも・・・・

正直なところ、スペシャルであまり真矢をいじって欲しくなかったが、もう本編を作っている段階から全ての構成を考えていたらしい。説得力のある構成で、真矢の全体像がこれではっきりした。封印された真矢の過去は予想を上回る壮絶な戦いだった。彼女の言葉の一つ一つは、あのような凄惨な過去からにじみ出ていたわけだ。

教え子に裏切られ、同僚たちからも信用されず、子供を死なせ、夫とも理解し合えなかった。そんな絶望の淵に立たされ、死と向き合った彼女が、初めて教師としての天命を知る。そこから逃げられない、自分が教師をまっとうしなければならない宿命を。

ポニーテイルのグレー真矢は、かつての白真矢とはまるで別人格。実に堂々としている。
やがてクラスの異変に気づき、いじめの主犯である少年Aと真っ向から立ち向かう。
「幸せって一人ひとり違うと思う。だからみんな幸せになれると思う!」
本編で出てきた最初のテーゼ「幸せになれるのは、たった6%の人間だけ」の本当の意味がここであきらかになる。その後、いじめはますますエスカレートし、いじめられっ子は、自殺未遂を起こす。(奴に突き落とされたのでは? あるいは自殺幇助か?)

真矢は川に落ちた少年と、自分の水死した息子を重ねる。「お願いだからもう誰も殺さないで!」
その願いを聞き届けたのは、神様ではなく、悪魔だったのかもしれない。きっとこの時、真矢は悪魔に心を売り渡したのだろう。
そしてついに、悪魔が乗り移った真矢は文字通り、少年Aと血みどろの戦いを行なう。悪魔VS悪魔!「何で人を殺してはいけないのか、教えてあげる!」必死の形相で叫ぶ真矢。目を背けたいほど怖い、鳥肌が立つ・・・

再教育センターに送られても、校長の言葉を支えに2年間を耐え、現場へと復帰してきた。
地獄を見てきた彼女は、教室に入る直前、悪魔に変わっていく自分の姿を見つめるのであった・・・

和美と由介が友情出演する。
自分が正しいと思う道を貫くのは信念がいるが、独善的になっていないか、よく考えるべきだ。
どちらを選ぶかを選択する場合で、そのどちらも正しくないと思うなら、苦しくても第3の道を考えなさい。
真矢は中学生になった和美と由介に実に適切なアドバイスをしている。しかしそれは真矢自身の生き方に対しても言える。彼女は見かけ上「いい教師」になるよりも、鬼教師になって厳しく接することがよりいい方法だと思っている。子供への悪影響や周囲の大人の反対などの代償が大きいことも承知の上で。確かにその決死の覚悟はすばらしいかもしれない。ただそのやり方が独善的になっていないか、第3の道がないのか。再教育センターでもう一度自分を見つめなおし、新しい真矢として再々復帰してもらいたい。厳しさも必要だが、もっと周囲に理解してもらう努力をすべきだろう。和美たちが授業参観で親に自分の気持ちを訴えたように。

・再教育センターの実態は知らないが、ドラマのような所だったら、誰でも教師を辞めたくなるだろうな。
・やはりはじめから和美と由介をキーマンとしてクラスをまとめようとしていたのだ。まさに「真矢の思うつぼ」だった。
・幸せの意味や人を殺してはいけない理由など、グレー真矢のメッセージの方がはるかにわかりやすい。黒真矢の言葉はひねりが利きすぎる。私は「女王の教室(最終話)追記」でご丁寧に解説をしてしまった。
・昔から学園ものは、校長が人格者、教頭は石頭のだめな奴が断然多い。『ごくせん』しかり、『スクールウォーズ』しかり。今回の夫役の生瀬も『ごくせん』の教頭だし。
・少年Aのペンを真矢は取り上げ、「許さない。返して欲しかったら・・」と言う。和美たちが援交ごっこをして真矢を呼び出した後、「許しません。罰として全員・・」と言った時と同じで、もう彼をとっくに許している。ペンも最初から思い出としてもらうつもりで、少年Aもそれがわかっているから取りに来るはずはないネ。(うまい伏線だった。彼が来ないのもあるいは次の続編への伏線か?)
・本編以上に、式神のモンシロチョウがここぞというところで大活躍。あの蝶にはインテルが入っている。間違いない!

[追記]
もし子供たちを指導していくだけだったら、グレー真矢のままでもよかったのだろう。
しかし少年Aの心を開かせることはできても、その親までをどうすることもできなかった。子供を溺愛するしかできない母親、自分の社会的権力を学校に持ち込む父親(それはかつての真矢自身であり、真矢の父親でもあった)。子供たちを守るには、家庭や周りを取り巻く大人たちの世界を変えていかねばならない。
その決意が彼女を黒真矢へと追い立てたのだろう。

真矢先生、もし自分の信念が正しいと信じるならば、まずあの再教育センターのへぼ教官をあなたの手で熱血教官に仕立ててみたらどうですか? 自分の信念に耳を傾けなかった同僚たちを再教育するのも必要です。並木先生やシオリちゃんを感化させたように。出所後?のあなたの活躍を願って止みません。

脚本:遊川和彦
主演:天海祐希
(2006年.日本テレビ系)

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コメント

TBありがとうございました。
ほんと2夜連続でレギュラー放送の黒真矢が
何故誕生したのか。わかりましたね。

>真矢先生、もし自分の信念が正しいと信じるならば、
まずあの再教育センターのへぼ教官をあなたの手で
熱血教官に仕立ててみたらどうですか? 
・・・ほんと同感です。

それと、阿久津先生にとって、『教師』とはいったい何なので
しょうかね。この答えがまだでてないですね。

投稿: pon | 2006.03.19 11:48

はじめまして!TBありがとうございました。
核心をついた、そしておもしろい角度からのレビュー、
感心しながら読ませていただきました。

実際の学校でもやっぱり多くの校長・教頭はことなかれ
主義だし、こういう先生がもしもほんとにいたら、危険分子
という目でしか見ないでしょうし、今や、家庭が子供をダメ
にし、更に学校がそれを増長させる という二重構造で
子供を破壊していってるのかもですね。

そういう意味で、このドラマはかなりの乱暴な方法を
用いることで、私たちにしっかりと問題提起をしている気もします。

では、またどうぞよろしくお願いします~!

投稿: まりりん | 2006.03.19 14:31

ponさん、コメントありがとうございました。
私も真矢先生が宮内君に『いい加減に目覚めたら』と叫ぶ
シーンが一番気に入っています。心にズシンと来ました。
それでも目覚めない彼の母親のために、真矢先生は
黒真矢への道を選んでいくんだなと納得させられました。

投稿: 電影道士 | 2006.03.21 00:14

まりりんさん、こんにちは、コメントありがとうございました。

わたしも“いじめ”問題を真っ向から取り上げている
このドラマに感動しました。
子供には少々きつい絵でしたが、「いじめ」がどうして
いけないことか、わかってくれればいいいなと思います。

それにしても天海さんや子役たちの演技はすごいですね。
見る方も力が入ってしまいました。

投稿: 電影道士 | 2006.03.21 00:17

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