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生きる(リメイク版・含比較)

――二時間ヒューマン・ドキュメンタリーならば文句なし。でもたとえパロディーでも良いから松本幸四郎に柳沢教授風に演じて欲しかったなぁ~

松本幸四郎と言えば大河ドラマ『黄金の日日』で主人公助左衛門を演じた。乱世に生き、自分の信念を貫き、夢を追い続けた情熱的な人である。
私の好きなドラマだが、レビューがまだ書けない…
しかしまるで『生きる』の渡辺とは正反対のキャラである。

『天才柳沢教授の生活』では、本人は至って大真面目な大学教授なのに、いろいろ事件を巻き起こし(?)、くすくすと笑いを誘う。時間には几帳面で、道も必ずまっすぐ歩き、曲がり角は必ず直角に曲がって歩く。好奇心旺盛という意味では情熱的とも言えるが、真面目さと可笑しさのギャップはこの方の持ち味なんだろう。このキャラで行くのかな? 私は少し期待した。

黒澤オリジナル『生きる』については、すでに全てを書き尽くした。あとはもう自分にその時が来ない限り、新たな感想は出そうも無い。だから今回はリメイク版との簡単な比較でお茶を濁したい。

しかしながらリメイク版は、最初から最後まで真面目に撮り過ぎだ。まるでシリアスな密着ドキュメンタリーのように、カメラが付きっ切りで撮っている感じ。一人称。見る側も心に余裕が無く、主人公勘治につき合わされている。
オリジナルはその点、ブラックユーモア満載。息子夫婦とのやり取りも、大真面目なのに間が抜けていて可笑しい。鬼嫁でさえも単なる我利我利亡者ではなく、義父と寄り添う?若い娘を見て、皮肉な顔をしてニヤリとする。
そうこれこそが柳沢教授的生活。
勘治が深刻になればなるほど、不謹慎だけどフッと笑みがこぼれてしまう。

メフィストを「三文文士(死語)」でなく、息子と同世代の男にしたのは素晴らしい。
一晩で一生分の快楽を味わせて差し上げましょう!
おぉ~このセリフ、なかなかグッときますね。
彼との一夜の思い出は、叶わなかった実の息子光男とのバーチャルな一夜。羽目をはずす柳沢教授、じゃなくて勘治をもっともっと見たかったね。メフィストは自分の死んだ親父を思い出していたと言うが、勘治は息子の事を少しでも思い出したりはしなかったのだろうか?

「老いらくの恋」なんて死語ではなくずばり「援交」。上役のあだ名がミイラしか出なかったが、本当はもっといろいろなあだ名があった。まぁ仕方ないか、死語のオンパレードだから。勘治が立ち直るきっかけとなった犬の縫いぐるみだが、やはりここはウサギでないとギャグにならないだろう。

お通夜のシーン。名場面なのだが、芸達者な役者を揃えた。みんなうまいね。
なのに後日談はよくない。
新体制の市民課。やる気の無いみんなに対してユースケが一瞬でいいからガツンと怒って欲しかった。書類の山に埋もれるシーンもない。ユースケ・あんた無理か?

ラストの助役の選挙カーにあの娘がウグイス嬢をやっている。
子犬を作るのが楽しいと言った彼女は、どこに消えてしまったのか…
黒澤がラストシーンで投げかけた謎掛けは、どこに消えてしまったのか…

演出: 藤田明二
出演: 松本幸四郎、深田恭子、北村一輝、ユースケ・サンタマリア、小野武彦、岸部一徳
製作:テレビ朝日(2007)

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